退職代行は「最安値段の業者」を選ぶのが最大のリスク|非弁問題と未払い残業代の回収損を防ぐ選び方
この記事を読んで理解できること
- 値段の安さで選ぶと失敗する3つのリスク
- 退職代行の値段相場|3タイプ別に比較
- 弁護士依頼の費用対効果|値段以上に戻る可能性
- 後悔しない業者の選び方5つのチェック
- 退職代行の値段に関するよくある質問(FAQ)
※本記事は労働問題を扱う弁護士の実務経験をもとに作成しています。
■退職代行業者3タイプ比較表
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項目 |
民間業者 |
労働組合型 |
弁護士 |
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値段相場 |
1万〜5万円 |
2.5万〜3万円 |
1万〜10万円以上 |
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法的資格・根拠 |
なし(使者) |
労働組合法(団体交渉)※運営実態次第でグレーゾーン |
弁護士法(代理権) |
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有給消化の交渉 |
不可(非弁リスクあり) |
条件付きで可能(運営実態によっては法的リスクあり) |
可能(法的に代理) |
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未払い残業代の請求 |
不可 |
不可 |
可能 |
退職代行の値段を比較しているあなたは、今この瞬間、「できるだけ安く済ませたい」と考えているかもしれません。
しかし、『最安値の業者を選ぶ』ことが最大のリスクであることをご存知ですか?
値段だけで業者を選んだ結果、本来受け取れるはずだった残業代も受け取れず、有給休暇も消化できず、実質的に大きな損失を被る可能性があります。
値段の比較は簡単にできますが、「値段の差が何を意味するか」を知らずに選ぶことが、最大の落とし穴です。
「退職のみが目的で、残業代請求や有給交渉が一切不要」といった特定の状況であれば民間業者も選択肢ですが、少しでもトラブルが予想されるなら弁護士一択だといえます。
本記事では、労働問題専門の弁護士が『失敗しない業者の選び方』と『値段を支払っても結果的にプラスになる残業代回収の仕組み』を解説します。
■ この記事の結論
- 退職代行の値段は3タイプに大別される:民間業者1〜5万円・労働組合型2.5〜3万円・弁護士1万〜10万円以上。
- 交渉権のない業者を選ぶと会社に突っぱねられ、業者に払った値段が丸ごと損失になるリスクがある。
- 未払い残業代は過去3年分まで請求できる:月5万円未払いなら最大180万円の回収が可能。
- 弁護士費用を上回る残業代回収が見込めれば弁護士依頼のメリットがある。
- 「弁護士監修」と「弁護士が実際に交渉する」は別物:担当弁護士の氏名・所在地が明示されているかを必ず確認する。
■ こんな方はこの記事を参考にしてください
- 退職代行の値段相場をすぐに知りたい
- 運営元ごとの値段とできることの違いを把握したい
- 安い業者を選んで失敗しないか事前に確認したい
- 有給消化や残業代請求も同時にできるか知りたい
- 値段に見合う業者の選び方の基準を知りたい
目次
1章:値段の安さで選ぶと失敗する3つのリスク
退職代行は「民間業者・労働組合型・弁護士」の3タイプに分かれますが、退職代行の値段を比較するとき、多くの方が見落としてしまうのが「値段の安さが生む連鎖的なリスク」です。
業者に払う値段の差は大きく見えますが、安い業者を選んだ結果生じる問題は、払った値段をはるかに上回る損害につながる可能性があります。
1-1:民間業者は会社に突っぱねられても交渉できない
安い値段の民間業者を選んだとき、最初に問題になるのが、会社が退職を認めなかった場合に交渉できない点です。
実際の相談の中で多いのは、次のような時系列で問題が深刻化するケースです。
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時点 |
起きること |
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依頼当日 |
業者が電話・メールで退職の意思を会社に伝える |
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翌日 |
業者から「手続き完了」と連絡を受け、出勤しない決断をする |
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2〜3日後 |
会社から直接電話。「退職は認めない。無断欠勤扱いにする」と通告される |
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4日目以降 |
業者に連絡するも「交渉はできません。あとはご自身で対応を」と言われる |
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1週間後 |
欠勤扱いの日数分だけ給与が差し引かれ、最終的に自分で会社と交渉するしかない状況に |
このケースで失うものは「業者に払った値段(2〜4万円)」だけではありません。
- 精神的に距離を置こうとした会社と再び直接やり取りしなければならないストレス
- 欠勤扱いによる給与の減額
- 会社との交渉が長引くことで生じる転職機会の損失
これらはいずれも「値段の安さ」では補えない大きな損失です。
会社が拒否してきたとき、弁護士であれば「代理人通知」によって法的に事態を収束させる手段がありますが、民間業者にはその手段がそもそも存在しません。
1-2:非弁行為で交渉自体が法的に無効になる
値段の安い民間業者の中には、「有給消化の交渉をします」「退職条件を会社と調整します」と案内しているケースがあります。
しかし、弁護士でない者が報酬を得る目的で交渉・示談・請求などの法律事務を行うことは、弁護士法第72条が禁じる非弁行為に当たる可能性があります。
■非弁行為が発覚したとき、依頼者に起きること
- 会社側が「この業者の交渉は法的に無効だ」と主張し、一切の対応を打ち切る
- 業者が摘発・廃業した場合、依頼中の案件が宙に浮き、業者と連絡が取れなくなる
- 「退職代行を頼んだ」という事実が会社に知られたまま、結局自分で会社と向き合わなければならない
- 事情によっては、依頼者自身が事情聴取を受ける可能性も否定できない
なお、弁護士法第72条に違反した非弁行為を行った者は、2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(弁護士法第77条)に処せられる可能性があります。
業者が摘発されれば即日廃業になるケースもあるため、「値段が安かった業者に昨日依頼したのに、今日つながらない」という事態が現実に起きる可能性があります。
■「顧問弁護士あり」「弁護士監修」でも非弁リスクが残る理由
顧問弁護士がアドバイスをするだけで、実際には民間業者の担当者が会社と交渉している場合、それは非弁行為に当たる可能性があります。
「弁護士監修」という表記は、弁護士が記事や規約を確認したことを示しているだけで、弁護士が実際に個別の交渉を担うとは限りません。
値段を比較する際は、「誰が実際に会社と交渉するのか」という点を必ず確認してください。
1-3:未払い残業代が退職後に回収不能になる
値段の安い業者を選ぶことで生じる最大の損失は、「払った値段の無駄」だけではなく「本来受け取れるはずだった残業代の取り逃がし」です。
退職後に残業代を請求しようとすると、次のような証拠の入手が難しくなります。
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証拠 |
退職前 |
退職後 |
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タイムカード・勤怠記録 |
自分でコピー・写真保存が可能 |
会社の管理下。開示請求しても拒否されるケースがある |
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給与明細・賃金台帳 |
手元にある状態で確認できる |
遡って取り寄せが必要になる場合がある |
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会社との交渉の土台 |
在籍中のため会社も無視しにくい |
元従業員の立場となり、交渉力が大きく低下する |
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証拠保全の緊急度 |
高くない(今すぐ対応できる) |
高い(会社が記録を廃棄・改ざんするリスクがある) |
「退職代行を使って辞めた後で、残業代を請求しよう」という考え方は、実務の観点からはリスクが高いです。
退職を検討している段階こそ、「自分に未払い残業代がないか」を確認できる最後のタイミングです。
実際に、「値段が安い業者に頼んで辞めた後、未払い残業代の存在に気づいたが証拠が揃わず請求できなかった」というケースも多いです。
値段の比較だけで業者を選ぶ前に、退職後に取り逃がす可能性のある権利の大きさを先に把握しておくことが重要です。
2章:退職代行の値段相場|3タイプ別に比較
退職代行の値段が「1万円〜10万円以上」と大きく開いている理由は、業者の種類によって「法律上できること」がまったく異なるからです。
値段の高低は単なる価格競争ではなく、退職代行を依頼した後に「あなたの代わりに何ができるか」、その違いを反映しています。
各タイプの値段設定の背景にある構造を理解することが、「値段に見合う選択」をするための第一歩です。
2-1:民間業者の値段|1〜5万円程度、交渉は不可
民間業者の値段が安い根本的な理由は、「参入に法的資格が不要」だからです。
弁護士や社会保険労務士のような国家資格がなくても開業できるため、運営コストが低く、値段を抑えやすい構造になっています。
民間業者の値段相場は、正社員で3万〜5万円前後、アルバイト・パートで1万〜3万円前後が多く見られます。
主なサービスの値段(目安)は以下のとおりです。
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サービス名 |
費用(目安) |
備考 |
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モームリ |
正社員 約22,000円 / アルバイト 約12,000円 |
LINE相談・即日対応 |
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ニコイチ |
約27,000円 |
老舗退職代行 |
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辞めるんです |
約27,000円 |
追加料金なし |
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オイトマ |
約24,000円 |
低価格帯 |
ただし、この「安さ」には法律上の制限がそのまま反映されています。
民間業者は、法律上「使者」の立場にとどまります。
これは「あなたの言葉を会社に届けるだけ」の役割であり、会社と対等に話し合う権限は一切ありません。
会社が「退職を認めない」「有給消化は許可しない」と返答した場合、民間業者にできることはそこで終わりです。
値段の安さ=業者ができることの少なさという構造は、依頼前に必ず理解しておくべき大事なポイントです。
2-2:労働組合型の値段|2.5〜3万円程度、有給交渉が可能
労働組合型の値段が2.5万〜3万円前後に集中しているのは、「組合運営のコスト構造」と「団体交渉権という法的根拠」のバランスから来ています。
労働組合が組合員のために雇用主と団体交渉を行うことは、裁判例上(東京地判令和4年5月2日・控訴審東京高判令和4年12月15日)、弁護士法第72条違反にあたらないとされたケースがあります。
ただし、この判断は、労働組合が使用者側によって事実上支配されているかどうかなどを総合的に考慮した結果です。
退職代行会社との結びつきが強く実質的に代行会社の業務を肩代わりしているような実態がある場合や、組合員が支払う費用が法的サービスへの報酬としての性質を持つと判断される場合には、弁護士法第72条違反となる余地が残ります。
つまり、労働組合型の交渉権限は「一律に合法」とは言い切れず、運営実態次第でグレーゾーンになり得る点を理解した上で選ぶ必要があります。
また、未払い残業代の法的請求や、損害賠償訴訟への対応は、労働組合の権限の外です。
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サービス名 |
値段(目安) |
団体交渉権 |
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退職代行SARABA |
約24,000円 |
あり(労働組合) |
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退職代行Jobs |
約29,000円 |
あり(労働組合提携) |
値段と交渉権のバランスから、「有給消化さえできれば十分」「残業代の未払いは特にない」という状況に限れば、労働組合型は選択肢になり得るでしょう。
ただし「本当に残業代の未払いがないか」は、退職を決める前に弁護士の無料相談等で確認しておくことをおすすめします。
2-3:弁護士型の値段|1〜10万円以上、法的問題もフル対応
弁護士による退職代行の値段が「1万円台〜10万円以上」と幅広いのは、案件の難易度と成功報酬の設計によって値段の構造が変わるからです。
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値段の種類 |
内容 |
相場 |
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基本値段(着手金) |
退職代行そのものの対応費用 |
1万〜5万円前後 |
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成功報酬 |
未払い残業代など回収額の一部 |
回収額の15〜25%程度 |
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合計の目安 |
残業代請求なし |
1万〜5万円 |
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合計の目安 |
残業代請求あり(回収成功時) |
10万円以上になることも |
弁護士に依頼することで得られるのは、「値段に応じたサービス」だけでなく、「法律上の代理権」です。
弁護士が「代理人」として介入した瞬間から、会社との対応は弁護士がすることになります。
有給消化の日数設計・退職日の法的確定・直接連絡の遮断・未払い残業代の請求・損害賠償への対応まで、弁護士だけが一括で対応できます。
未払い残業代の請求を同時に行う場合は、回収額の15〜25%程が成功報酬として加算されるのが一般的です。
ただし、回収できる残業代が数十万〜数百万円になるケースも珍しくないため、トータルで見ると弁護士に依頼した方が大きく得をするケースが多いです。
2-4:3タイプの値段とできることを一覧比較
同じ「退職代行」という言葉でも、タイプによって値段とできることは大きく異なります。
特に重要なのは「会社が拒否してきたとき、その先に何ができるか」という点です。
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項目 |
民間業者 |
労働組合型 |
弁護士 |
|
値段相場 |
1万〜5万円 |
2.5万〜3万円 |
1万〜10万円以上 |
|
法的資格・根拠 |
なし(使者) |
労働組合法(団体交渉) |
弁護士法(代理権) |
|
有給消化の交渉 |
不可(非弁リスクあり) |
運営実態次第(グレーゾーンあり) |
可能(法的に代理) |
|
翌日から出社しない設計 |
不可 |
不可 |
可能(有給消化を法的に設計) |
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会社が拒否したときの対応 |
不可(そこで終了) |
限定的(法的強制力なし・実態次第でリスクあり) |
可能(法的措置を選択できる) |
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未払い残業代の請求 |
不可 |
不可 |
可能 |
|
直接連絡の法的遮断 |
不可(放置されるリスクあり) |
不可 |
可能(法的に代理) |
|
損害賠償請求への対応 |
不可(放置されるリスクあり) |
不可 |
可能(法的に代理) |
2-5:「払う値段」と「戻ってくる可能性のある権利」を比較する
値段の比較をする際に、もう1つ必ず確認してほしいのが「弁護士に依頼した場合、いくら手元に戻ってくるか」という点です。
未払い残業代がある場合、過去3年分まで遡って請求できます(労働基準法第115条)。
以下の表で、自分の状況に近い行を確認してください。
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月額未払い残業代 |
1年分 |
2年分 |
3年分(最大) |
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月2万円 |
24万円 |
48万円 |
72万円 |
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月5万円 |
60万円 |
120万円 |
180万円 |
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月10万円 |
120万円 |
240万円 |
360万円 |
■損益分岐点
弁護士の退職代行値段が5万円+成功報酬20%の場合、残業代回収額が62,500円を超えた時点で、弁護士の値段を差し引いても手取りがプラスになります。
月1万2,000円の未払いが半年続いていれば、すでにこの水準に達しています。
弁護士に依頼すると「高い」と感じる場合も、「払った後に手元に残る金額」と比較すると、判断は逆転することがほとんどです。
3章:弁護士依頼の費用対効果|値段以上に戻る可能性
3-1:未払い残業代は3年分・月5万円未払いなら180万円回収可能
退職代行を検討している方の中には、「残業代が払われていないのでは」という疑いを持っている方もいるでしょう。
以下のような状況に心当たりがある場合は、退職を決める前に必ず弁護士に相談してください。
- 残業しているのに残業代が支払われていない、または明らかに少ない
- 「管理職だから」という理由で残業代を払ってもらえていない
- 残業時間が正確にカウントされていない感覚がある
- 退職に際して嫌がらせとして給与が未払いになっている
法律上、未払い残業代は過去3年分まで遡って請求できます(労働基準法第115条)。
月5万円の未払いが3年続いていれば、最大180万円の回収が可能です。
さらに、会社が支払いを拒否した場合は、未払い残業代に加えて同額の付加金(労働基準法第114条)の支払いを命じられるケースもあります。
3-2:弁護士費用の損益分岐点
弁護士の退職代行値段が「5万円+成功報酬20%」の場合、残業代回収額が62,500円を超えた時点で、弁護士費用を差し引いても手取りがプラスになります。
この計算の根拠は以下のとおりです。
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計算条件 |
内容 |
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弁護士への基本費用 |
50,000円 |
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成功報酬率 |
20% |
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計算式 |
50,000円 ÷ (1-0.2) = 62,500円 |
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手取りがプラスになる回収額(損益分岐点) |
62,500円 |
つまり、62,500円以上の残業代回収が見込める場合、弁護士に依頼した方がトータルで確実に利益になります(ただし、残業代請求の基本費用は、退職代行の費用とは別途発生するという法律事務所も多いので注意しましょう)。
月1万2,000円の未払いが半年続いていれば、すでにこの水準に達しています。
3-3:「払う値段」でなく「手元に残る金額」で判断する
退職代行の値段を判断する基準は、「払う金額が安いかどうか」ではなく、「依頼によって守られる権利・回収できるお金がいくらか」です。
弁護士は、回収の見込みが立たない案件は受任しません。
見込み額が弁護士費用を大きく上回ると判断した上で受任するため、依頼者が赤字になるリスクは構造的に極めて低くいです。
成功報酬を「追加費用」と捉えるより、「回収できた金額の一部を報酬として渡す仕組み」と捉えることが実態に近いです。
■退職代行+残業代請求で200万円以上を回収した解決事例
【相談】
ある飲食店に勤務していた方から「退職したいが会社が認めてくれない。」という相談を受けました。
【経緯】
話を聞いていく中で、長期間にわたる残業代の未払いがあることが明らかになりました。
そこで、有給休暇を消化した上での退職通知と同時に、未払い残業代の請求を行いました。
当初、会社側は請求を全面的に拒否しましたが、訴訟で争った結果、会社が支払義務を認めました。
【結果】
最終的に、200万円以上の解決金を受け取ることができました。
弁護士費用も当然発生しましたが、回収額はそれを大きく上回るものでした。
【教訓】
最初から民間の退職代行業者を使っていた場合、退職はできたとしても、有給消化の交渉も未払い残業代の請求も、どちらも実現しなかった可能性が高いといえます。
※金額・内容は守秘義務の範囲で抽象化しています。
4章:後悔しない業者の選び方5つのチェック
退職代行の値段の安さにつられて業者を選ぶ前に、以下のチェックリストを必ず確認してください。
1つでも当てはまる業者への依頼は見直しを検討してください。
4-1:交渉権の有無|法律事務所か労組提携か
退職代行業者を選ぶ際の最初の確認事項は、「誰が実際に会社と交渉するのか」です。
値段が安くても、交渉権のない業者では会社に突っぱねられるリスクがあります。
法律事務所(弁護士)か、もしくは労働組合型かを必ず確認してください。
民間業者が「交渉もします」と言っていても、法律上の交渉権がなければそれは非弁行為になる可能性があります。
4-2:担当弁護士の氏名・所在地が明示されているか
「弁護士監修」と記載があっても、担当弁護士の氏名・所属法律事務所・所在地が明示されていない場合は要注意です。
監修の実態が不明で、実際の交渉は民間業者が行っている可能性があります。
弁護士であれば、日本弁護士連合会の弁護士検索システムで確認できます。
値段だけでなく、依頼する相手の実在性を確認することが重要です。
4-3:返金保証の条件・追加料金の有無を確認する
「全額返金保証」をうたっていても、返金条件の詳細が不明な業者は注意が必要です。
「退職できなかった場合」の定義が業者によって異なり、実際には返金されないケースがあります。
また、値段に含まれないサービスが後から追加費用として発生することもあります。
連絡手段がLINEのみで、電話番号や所在地が公開されていない業者も、問題が起きたときに連絡が取れなくなるリスクがあります。
4-4:「弁護士監修」と「弁護士が交渉」は別物
退職代行業者の中には、「弁護士監修」という表記で弁護士との関与を示しているところがあります。
しかし、「弁護士監修」と「弁護士が実際に会社と交渉する」はまったく別のことです。
弁護士が監修しているだけで、実際の交渉は民間業者の担当者が行っている場合、その交渉は非弁行為に当たる可能性があります。
「弁護士監修」の記載があっても、会社側から「無効」として突っぱねられるリスクは消えません。
4-5:残業代請求を「提携先」に丸投げしていないか
残業代・退職金の請求を「提携している別の会社で対応します」と案内している業者は注意が必要です。
提携業者への紹介行為(非弁提携)が弁護士法第27条で禁じられている可能性があります。
(非弁護士との提携の禁止)
弁護士法第27条
「弁護士は、第七十二条乃至第七十四条の規定に違反する者から事件の周旋を受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。」
また、「退職代行の値段は安いが、残業代請求は別業者に高い値段で依頼させる」という構造になっているケースも見受けられます。
退職代行と残業代請求を一括で対応できる弁護士に依頼することが、値段・手間・リスクの面で最も合理的な選択です。
5章:退職代行の値段に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 退職代行の値段相場はどれくらいですか?
民間業者は1万〜5万円程度、労働組合型は2.5万〜3万円程度、弁護士は1万〜10万円以上が目安です。
未払い残業代の請求を同時に行う場合は成功報酬(回収額の15〜25%程度)が別途発生することが多いですが、回収額が値段を大きく上回るケースがほとんどです。
Q2. 退職代行で翌日から出社しない(即日退職)は本当にできますか?
「翌日から出社しない」ことは、2週間分以上の有給休暇が残っていれば、翌日から有給消化に入ることで可能です。
法律上(民法第627条第1項)、退職の意思を伝えてから最短2週間は在籍が続くのが原則です。
ただし、この有給消化の日数設計と退職日の法的な調整を行えるのは弁護士だけです。
Q3. 弁護士に退職代行を依頼すると値段が高くなりますか?
必ずしも高くなるわけではありません。
法律事務所によっては1万円台から引き受けているところもあります。
未払い残業代がある場合、弁護士費用を差し引いても大きな金額を回収できるケースが多く、トータルで見ると弁護士への依頼が有利になることがほとんどです。
Q4. 成功報酬で「手出し赤字」になることはありますか?
実務の経験上、ほぼありません。
弁護士は回収の見込みが立たない案件は受任しないため、依頼者が赤字になるケースは構造的に極めて低くいです。
値段が心配な方は、まず無料相談で「自分のケースでいくら回収できるか」を確認することをおすすめします。
Q5. 退職代行に依頼すると会社から連絡が来なくなりますか?
弁護士に依頼した場合は、弁護士が代理人として「今後の連絡は弁護士宛てに」と会社に伝えることで、直接連絡が来なくなるのが通常です。
一方、民間業者の場合は退職代行後も会社が直接連絡することを止める法的手段がないため、会社から直接電話が来る可能性があります。
Q6. 残業代はどのくらい請求できますか?
未払い残業代は過去3年分まで遡って請求できます。月2万円の未払いでも3年分で最大72万円、月5万円なら最大180万円になります。
業種や労働時間によって異なるため、まずは弁護士への相談で自分のケースの見込み額を確認することをおすすめします。
相談だけでも問題ありません。
Q7. 労働組合型の退職代行は本当に合法ですか?
労働組合が組合員のために団体交渉を行うことは、裁判例上、弁護士法第72条違反にあたらないとされたケースがあります。
ただしこれは事例判断であり、退職代行会社との関係が密接な場合や、費用の性質次第では違法と判断される余地があります。
「労働組合だから一律に安全」とは言い切れないのが現状です。
未払い残業代・損害賠償リスクがない場合に限れば選択肢になることがありますが、利用する前に依頼先の運営実態を確認することが必要です。
法的確実性を求めるなら、弁護士への依頼が最も安全です。
まとめ:退職代行は値段より「手元に残る金額」で選ぶ
「辞めたいのに辞められない」そんな苦しい状況で、解決のために選んだ退職代行が、新たなトラブルを招いてしまっては本末転倒です。
退職代行の値段を比較するときに、押さえておくべき要点をまとめます。
- 民間業者の安さは「できること」の少なさと表裏一体:会社が交渉を「無効」として突っぱね、払った値段がそのまま損失になるリスクがある。
- 労働組合型の交渉権限は「一律に合法」とは言い切れない: 裁判例はあるが事例判断であり、運営実態次第でグレーゾーンになる。法的確実性の観点では弁護士への依頼が唯一の選択肢となる。
- 弁護士は赤字になる案件を受任しない:成功報酬型の構造上、依頼者が手出し赤字になるリスクは極めて低い。
- 翌日から出社しない「即日退職」の設計ができるのは弁護士だけ:有給消化の法的な交渉は弁護士にしか行えない。
- 未払い残業代は過去3年分まで遡って請求できる:退職後は証拠収集が難しくなるため、退職代行の依頼前が最後のチャンス。
値段の比較に時間をかける余裕がない方は、まずは相談だけでも問題ありません。
労働問題を専門とする弁護士に一度状況を話してみることが、あなたの権利を完全に守るための第一歩です。